つらい痛み我慢しないでください
骨や関節などの痛みはご本人様しか分かりません。痛みによる頭痛や吐き気をもよおすこともあり、更なる悪化を引き起こします。日常生活に支障をきたす痛みがある場合は無理をせず、当クリニックにお越しください。ケガや病気の治療は「早期発見、早期治療」が最善の解決策です。
肩の痛み
最も多い症例
肩凝り
症状
首すじ、首のつけ根から、肩または背中にかけて張った、凝った、痛いなどの感じがし、頭痛や吐き気を伴うことがあります。肩こりに関係する筋肉はいろいろありますが、首の後ろから肩、背中にかけて張っている僧帽筋という幅広い筋肉がその中心になります。
原因
首や背中が緊張するような姿勢での作業、姿勢の良くない人(猫背・前かがみ)、運動不足、精神的なストレス、なで肩、連続して長時間同じ姿勢をとること、ショルダーバッグ、冷房などが原因になります。
治療方法
マッサージ療法(筋肉の血流を改善させ、筋緊張をやわらげる)、温熱療法(蒸しタオル、入浴などで筋緊張をやわらげる)、運動療法(筋力強化)、安静、薬物療法(シップ薬、筋弛緩薬、局所注射など)を行います。明らかな原因疾患があれば、その治療が必要です。
その他のよく見られる疾患
- 肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)
- 肩腱板断裂
公益社団法人日本整形外科学会”「肩こり」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる”
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/stiffed_neck.html(参照2021-2-12)
首の痛み
最も多い症例
頸椎症性神経根症
症状
中年~高齢の人で肩~腕の痛みが生じます。腕や手指のシビレが出ることも多く、痛みは軽いものから耐えられないような痛みまで程度はそれぞれです。一般に頚椎を後ろへそらせると痛みが強くなりますので、上方を見ることや、うがいをすることが不自由になります。上肢の筋力低下や感覚の障害が生じることも少なくありません。
原因
加齢変化による頚椎症(椎間板の膨隆・骨のとげの形成)の変化によって、脊髄からわかれて上肢へゆく「神経根」が圧迫されたり刺激されたりして起こります。遠近両用眼鏡でパソコンの画面などを頚をそらせて見ていることも原因となることがあります。
治療方法
基本的には自然治癒する疾患です。症状が出ないように頚椎を後方へそらせないようにし、適切な方向への頚椎牽引や症状が強いときには消炎鎮痛薬の投薬などが行われます。治るまでには数か月以上かかることも少なくなく、激痛の時期が終われば気長に治療します。筋力低下が著しい場合や、強い痛みで仕事や日常生活が障害されている場合は、手術的治療を行う場合もあります。
その他のよく見られる疾患
- 肩腱板損傷(肩腱板断裂)
- 肩関節前方不安定症
公益社団法人日本整形外科学会”「頸椎症性神経根症」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる”
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_radiculopathy.html(参照2021-2-12)
肘(ひじ)の痛み
最も多い症例
上腕骨外上顆炎(テニス肘)
症状
ものをつかんで持ち上げる動作やタオルをしぼる動作をすると、肘の外側から前腕にかけて痛みが出現します。多くの場合、安静時の痛みはありません。
原因
中年以降のテニス愛好家に生じやすいのでテニス肘と呼ばれています。一般的には、年齢とともに肘の腱がいたんで起こります。病態や原因については十分にはわかっていませんが、主に短橈側手根伸筋の起始部が肘外側で障害されて生じると考えられています。 この短橈側手根伸筋は手首(手関節)を伸ばす働きをしています。
治療方法
【保存療法】1. 手首や指のストレッチをこまめに行います。2. スポーツや手をよく使う作業をひかえて、湿布や外用薬を使用します。3. 肘の外側に局所麻酔薬とステロイドの注射をします。4. テニス肘用のバンドを装着します。【手術療法】筋膜切開術、切除術、前進術、肘関節鏡視下手術などがあります。
その他のよく見られる疾患
- 変形性肘関節症
- 肘関節離断性骨軟骨炎(野球肘)
- 肘内障
公益社団法人日本整形外科学会”「テニス肘」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる”
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lateral_epicondylitis.html(参照2021-2-12)
手の痛み
最も多い症例
弾発指(ばね指)
症状
指の付け根で屈筋腱と靱帯性腱鞘の間で炎症が起こると、“腱鞘炎”になり腱鞘の部分で腱の動きがスムーズでなくなり、指の付け根に痛み、腫れ、熱感が生じます。 朝方に症状が強く、日中は使っていると症状が軽減することも少なくありません。 進行するとばね現象が生じて“ばね指”となり、さらに悪化すると指が動かない状態になります。
原因
更年期の女性に多く、妊娠出産期の女性にも多く生じます。手の使いすぎやスポーツや指を良く使う仕事の人にも多いのも特徴です。糖尿病、リウマチ、透析患者にもよく発生します。母指(親指)、中指に多く、環指、小指、示指にもよくみられます。
治療方法
保存的療法としては、局所の安静(シーネ固定も含む)や投薬、腱鞘内ステロイド注射(特にトリアムシノロンは有効)などがあります。この注射は有効で、おおむね3ヵ月以上は無症状なことが多いですが、再発することも少なくありません。改善しないときや再発を繰り返す場合は、腱鞘の鞘を開く手術(腱鞘切開)を行います。切開するのは腱鞘の一部だけです。小さな傷で済みます。
その他のよく見られる疾患
- ヘバーデン結節
- 変形性CM関節症
- 腱鞘炎
- デュケルバン病
- つき指
- ガングリオン
- 手根管症候群
- 橈骨遠位端骨折
公益社団法人日本整形外科学会”「ばね指」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる”
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/snapping_finger.html(参照2021-2-12)
腰の痛み
最も多い症例
腰椎椎間板ヘルニア
症状
腰や臀部が痛み、下肢にしびれや痛みが放散したり、足に力が入りにくくなります。背骨が横に曲がり(疼痛性側弯)、動きにくくなり、重いものをもったりすると痛みがつよくなることがあります。
原因
椎間板は線維輪と髄核でできていて、背骨をつなぎ、クッションの役目をしています。その一部が出てきて神経を圧迫して症状が出ます。椎間板が加齢などにより変性し断裂して起こります。悪い姿勢での動作や作業、喫煙などでヘルニアが起こりやすくなることが知られています。
治療方法
痛みが強い時期には、安静を心がけ、コルセットをつけたりします。また、消炎鎮痛剤の内服や坐薬、神経ブロック(神経の周りに痛みや炎症を抑える薬を注射する)を行い、痛みをやわらげます。腰を温めるのも良いでしょう。痛みが軽くなれば、牽引を行ったり運動療法を行うこともあります。これらの方法でよくならない場合や下肢の脱力、排尿障害があるときには手術をお勧めすることがあります。最近では内視鏡を使った低侵襲手術も広く行われるようになってきました。
その他のよく見られる疾患
- 腰部脊柱管狭窄症
- 坐骨神経痛
- 腰椎分離症
- 腰椎すべり症
公益社団法人日本整形外科学会”「椎間板ヘルニア」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる”
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lumbar_disc_herniation.html(参照2021-2-12)
股(足の付け根)の痛み
最も多い症例
変形性股関節症
症状
股関節症の主な症状は、関節の痛みと機能障害です。股関節は鼠径部(脚の付け根)にあるので、最初は立ち上がりや歩き始めに脚の付け根に痛みを感じます。関節症が進行すると、その痛みが強くなり、場合によっては持続痛(常に痛む)や夜間痛(夜寝ていても痛む)に悩まされることになります。一方日常生活では、足の爪切りがやりにくくなったり、靴下が履きにくくなったり、和式トイレ使用や正座が困難になります。また長い時間立ったり歩いたりすることがつらくなりますので、台所仕事などの主婦労働に支障を来たします。階段や車・バスの乗り降りも手すりが必要になります。
原因
患者さんの多くは女性ですが、その場合原因は発育性股関節形成不全の後遺症や股関節の形成不全といった子供の時の病気や発育障害の後遺症が主なもので股関節症全体の80%といわれています。最近は高齢社会となったため、特に明らかな原因となる病気に罹ったことが無くても年齢とともに股関節症を発症してくることがあります。
治療方法
初期のうちでしたら、どのような使い方をすると痛みが強くなるか良く自分自身の関節の調子を観察していただき、“日常生活”と“痛みを悪くしない使い方”をよくマッチさせることが大切です。痛み止めの薬を使うことも選択肢に入りますが、できれば調子の悪い時やどうしても負担をかけなければならない時に限定して使うほうが良いと思います。またもし過体重があるようでしたらダイエットも考えてください。心理的抵抗がなければ杖の使用もお薦めします。一方、痛みがあるとどうしても歩かなくなり筋肉が衰えてしまいますので、できれば水中歩行や水泳(平泳ぎを除く)を週2,3回行っていただくと理想的です。運動療法はその他の方法もありますが、運動療法はどうしても疼痛を誘発してしまう可能性がありますので、慎重に始めて徐々に強度を高めていくことがポイントです。これらの保存療法でも症状が取れない場合は手術療法を考えます。初期のうちでしたら自分の骨を生かして行う骨切り術の適応ですし、関節の変形がすすんでいる場合は人工股関節手術の適応となります。
その他のよく見られる疾患
- 大腿骨近位部骨折
公益社団法人日本整形外科学会”「変形性股関節症」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる”
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/hip_osteoarthritis.html(参照2021-2-12)
膝(ひざ)の痛み
最も多い症例
変形性膝関節症
症状
男女比は1:4で女性に多くみられ、高齢者になるほど罹患率は高くなります。主な症状は膝の痛みと水がたまることです。初期では立ち上がり、歩きはじめなど動作の開始時のみに痛み、休めば痛みがとれますが、正座や階段の昇降が困難となり(中期)、末期になると、安静時にも痛みがとれず、変形が目立ち、膝がピンと伸びず歩行が困難になります。
原因
原因は関節軟骨の老化によることが多く、肥満や素因(遺伝子)も関与しています。また骨折、靱帯や半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などの感染の後遺症として発症することがあります。加齢によるものでは、関節軟骨が年齢とともに弾力性を失い、遣い過ぎによりすり減り、関節が変形します。
治療方法
症状が軽い場合は痛み止めの内服薬や外用薬を使ったり、膝関節内にヒアルロン酸の注射などをします。また大腿四頭筋強化訓練、関節可動域改善訓練などの運動器リハビリテーションを行ったり、膝を温めたりする物理療法を行います。足底板や膝装具を作成することもあります。このような治療でも治らない場合は手術治療も検討します。これには関節鏡(内視鏡)手術、高位脛骨骨切り術(骨を切って変形を矯正する)、人工膝関節置換術などがあります。
その他のよく見られる疾患
- 半月板損傷
公益社団法人日本整形外科学会”「変形性膝関節症」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる”
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/knee_osteoarthritis.html(参照2021-2-12)
足の痛み
最も多い症例
足関節捻挫(外側靱帯損傷)
症状
足関節(足首)捻挫のほとんどは、足関節を内側に捻って生じます。足関節外側の靭帯(前距腓靱帯)が損傷します。外くるぶし(外果)の前や下に痛みがあり、腫れます。また、外くるぶしの前や下を押さえると、痛みます。
原因
スポーツなどのほかに、歩行時でも段差などで生じることがあります。捻挫とは、関節にかかる外力により非生理的運動が生じ、関節を支持している靭帯や関節包が損傷することです。足関節では図1の前距腓靱帯が損傷されることが最も多い病態です。靭帯の損傷程度によって、捻挫の程度を三つに分けています。靭帯が伸びる程度の損傷を1度捻挫、靭帯の一部が切れるものを2度捻挫、靭帯が完全に切れるものを3度捻挫と定義しています。
治療方法
1度捻挫と2度捻挫では、応急処置の基本と同様にRICE処置をおこないます。3度捻挫では、RICE処置をおこない、さらに2~3週間の固定をすることがあります。また稀に、不安定性の強いものには、手術をおこなうこともあります。
その他のよく見られる疾患
- 扁平足障害
- 関節リュウマチ
- 外反母趾
- 痛風
- アキレス腱断裂
公益社団法人日本整形外科学会”「足関節捻挫」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる”
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/sprain_of_ankle.html(参照2021-2-12)
外傷
最も多い症例
骨折
症状
骨とその周囲は神経と血管が豊富ですので、骨折するとその部位に痛みと腫脹が出現します。骨折がひどい場合は、動かせなくなったり、外見が変形したりします。しかし、単なる打撲や関節脱臼でも似た症状が出るので、診断をはっきりさせるにはX線(レントゲン)写真を撮ります。
原因
骨が壊れることを骨折と言います。したがって、ヒビも骨折ですし、骨の一部分が欠けたり、凹んだ場合も骨折です。骨折は骨に力がかかって発生します。健康な骨では、かなり大きな力がかからないと骨折しません。しかし、骨全体が弱っていたり、骨の一部が溶けていたりすると、弱い力でも骨折します(病的骨折)。また、健康な骨に弱い力がかかる場合でも、同じ場所に繰り返し長期間かかり続けると骨折することがあります(疲労骨折)。骨折と同時に皮膚が破れて骨折部が露出したものを開放骨折と呼び、治療を急ぐ必要があります。骨折部が複雑に粉砕したものは粉砕骨折と呼び、今は複雑骨折という名称は使いません。また、転位(ずれ)の無いヒビだけの骨折を不全骨折と呼ぶ事があります。
治療方法
骨の中には生きた細胞があり、骨折しても治る能力を備えています。しかし、条件を整えないと、骨はつきません。また、折れた部位や折れ方によって骨のつきやすさに差があります。一般に、骨折部のズレが小さく、骨折部の動きが少なく、骨折部に元気な細胞が多ければ、骨折はつきやすいです。この原則は手術する場合もしない場合も当てはまります。たとえばギプスで治す場合は、骨折部がグラグラしないようにギプスを作ります。手術する場合は皮膚を切開し、金属製の板や棒を用いて骨をとめてズレと動きを防ぎますが、骨折部の生きた細胞にも配慮して手術します。治療方法や骨癒合までの期間は、折れ方によって千差万別ですので、ここには書ききれません。ところで、骨折だけが治っても、その周囲が不健康になってはいけません。骨折部がグラグラしない限りは、その周囲の関節や筋肉は動かした方が良い場合が多く、必要以上の安静はかえってよくありません。
その他のよく見られる疾患
- 捻挫
- 腱断裂
- 脱臼
公益社団法人日本整形外科学会”「骨折」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる”
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/bone_fracture.html(参照2021-2-12)